Seeds of the art

【Seeds of the Art Vol.9】チームラボ・デジタル with Imagination! で表現する花宇宙を体験して。

「水に入るミュージアム」

先日の春休み、以前から何かと凄そうで気になる存在であった「チームラボ」を家族で初体験してきました。

インターネットの映像や写真で観て感じていたことよりも、やはり実際に足を運んで作品空間を心と体で感じて体験してみると、その作品への理解が深まり作品の意図やMessage(メッセージ)を直接的にキャッチできました。

そこにはチームラボの圧倒的な世界観がデジタルとアナログの双方を駆使しながら、挑戦的に現役ARTの実験場のように繰り広げられていていました。

我が家が今回行って来たのは豊洲にあるチームラボプラネッツ豊洲です。

チームラボプラネッツ豊洲

チームラボプラネッツ豊洲の最大の特徴は「水に入るミュージアム」という名の通り非日常的な感覚で、水の中を素足で歩きながら作品を体験できることだと思います。

都会では、公共の場で素足になることさえも珍しい昨今。本来は素足になることで得られる沢山の恩恵はあるものの、色々な兼ね合いで都会でのんびりと素足でいれる機会も少ないと思うので、この「素足で水の中を歩きながら作品を体験する。」というコンセプト自体が斬新で画期的だと思いました。

また反対に素足になることや、水に濡れてしまうこと、鏡ばりの床に対する抵抗感のある方も少なからずいらっしゃるかと思いますが、そこへのケアや配慮とシステム化もきちんとされているところにも感心でした。

入場後一通りのお水の中に入る準備を整えて、

いざ作品体験ツアーへ!

「無限のクリスタル宇宙」

第一の空間は、『 The Infinite Crystal Universe 』( 無限のクリスタル宇宙)という作品です。

空間に一歩入るとそこは幾重にも連なるLEDのクリスタル電球の長いコードが天井から垂らされ、天井と床には鏡が貼られていて、その効果で無限に光が続いていく感覚になります。すっぽりと身体ごと光に包まれていると、自分が動いていないのにいつの間にか光に包まれてまるで浮いているような、何処に移動しているかのような不思議な感覚になります。

この空間は「無限のクリスタル宇宙」という題名の通り、いつまでも続くかのような光の海で、自分が自然と光と対峙して内的な世界に入ることができる心煌めく幻想的な世界でした。

その後も、幾つかの作品を順路に沿って移動しながら体験します。移動の時には、水の流れる廊下を裸足で歩くのですが、床は敢えて平坦ではなくデコボコやフカフカやザラザラだったり、上り坂、下り坂を配置して色々な角度から感覚や感触を刺激されて、いつの間にか身体に意識が向いて、自分の五感と感性が自然と開かれていきます。

そして、開かれた感性や感覚に飛び込んでくる、光や水や音、鏡と映像を使った斬新なインスタレーション作品の数々に心を開かされて感動やワクワクが高まっていきました。

第二の空間は、『 人と共に踊る鯉によって描かれる水面のドローイング / Drawing on the water Surface Created by the Dance of Koi and People – Infinity 』という作品です。

広くて真っ暗な空間の中に大きな池があり、作品を体験するために足も膝下までお水に浸かります。そこにはカラフルな光の鯉の映像が映し出されていて、子供たちはすぐにはしゃいでは水に泳ぐ鯉を捕まえようとするのですが、その瞬間に鯉が花に変身したり、水の中で私たちの動きによって鯉たちも反応して動いていく「変化」そのものを楽しめるような作品でした。

この空間は、自然界のように常に変化していく世界を楽しみながら感覚的に捉えられる遊び心溢れる作品で、大人よりも常に感覚的に開いた状態にある、遊びの達人である子供達と作品に触れることで、楽しみ方が倍増しました。

一つ一つの作品で大感動しながらウキウキと楽しむ子供達の姿をみて、チームラボの作品が子供達の心や感覚に与えるARTやテクノロジーのコアなエッセンスが凝縮された色彩溢れる体験が与える影響の大きさを実感できました。

「花宇宙に浸る」

他にも色々と素晴らしい作品がありましたが、最後に今回私が最も感動した作品を紹介します。

それは、「Floating in the Falling Universe of Flowers」( 花宇宙に浸る )という作品です。

この作品は大きな空間の天井や壁が全てドーム型のスクリーンになっていて、床には鏡が張られて投影された花々の世界を映し出し、大きな花々に包み込まれるような空間的広がりを感じさせてくれます。

鑑賞者は鏡の床に寝転んだり、座ったり自由にリラックスしながら作品を体験することができ、専用のアプリで花の宇宙に自分が蝶々を飛ばして参加することもできます。

次々と映し出されていく荘厳な花のいのちの連なりを感じながら花宇宙に心を広げていくと、まるで自分自身が花の宇宙の中に浸って浮かんでいるような感覚になってきます。

四季折々の花々のいのちの移ろいに、自然界の永遠に変化していく、いのちの生と死を繋ぐ大きなサイクルの荘厳なSTORYを時間や空間に縛られずに深々と感じていけました。

私が実際に体験して一番感動したポイントは、花々の映像の美しさだけではなく、この作品をつくったチームラボのアーティストやチーム達のコンセプトの裏側にある熱い想いや、「何を伝えたくてつくったのか?」という作品の創造の意図に触れることができたことでした。

それは、私にとっていつも言語化はとても難しく、感覚的なものですが自分自身のハートの真ん中にダイレクトに届き、深い感動に包まれ涙が流れました。

実際に、無機質なデジタル作品で泣けるとは自分でも意外でしたが、表現のツールを超えてチームラボの創造の意図や熱いメッセージに触れられたことに、深い喜びと感動を味わえました。

チームラボのHPからこんな言葉を見つけました。

「自然が自然のままアートになる。自然そのものが自然のままアートになる。」

その言葉通り、花は花として、花らしくあるがままの姿そのものをチームラボが映像を通して伝えてくれたことによって、私たちにその本来の美しさを理屈抜きに感動的な自然のARTとして受け取れたのだと思います。

「共創・CO-CREATION」

チームラボは昨今、往々にして個人的になりがちな創造的な活動を、他者と互いに自由なスタンスを保ちながらも共創的な活動に変えることができるのではないかという可能性にフォーカスを当てて共創(きょうそう) / Co-Creationを実践して作品展開をしています。

このようなクリエイティブなコンセプトの実行が作品を提供する側と参加する側や、参加者同士の境目をなくして「共創」として生き生きと存在しているのだと思います。

チームラボのほとんどの作品は、センサーなどを通して自分や他者の動きが作品に反映されて作品に変化を生んだり、専用のアプリを使えば自分のスマホで簡単に作品に参加できて、自分の意図が作品に投影されます。

他者が存在して動くことによって生まれる、作品の中の蝶々や光の波紋や花々から、「美しい」や「楽しい」「いいね!」を体感して、他者の存在を作品を通してポジティブに受け入れた瞬間に広がる自分自身の世界の広がりや視座の変化を楽しめるマインドがいつの間にか生まれていることにも、チームラボの作品からのポジティブな影響を感じました。

作品を通して他者が存在することで受け取れる変化や美しさ、そして意外性を楽しむことができるということを確認すると同時に、現実の世界でも他者がいるからこそ感じ取れる恩恵を自然に再認識させてくれます。

「境界のない世界へ」

チームラボの作品はどれも超巨大な作品空間という海に人々が身体ごと浸り、包み込まれるような体験を通して身体と作品との境界を無くし、作品と自分が一体化するような没入感を与えてくれます。

従来の絵や立体作品を自分の目というレンズを通して観ている時の作品と自分の距離や分離した感覚はなく、自分自身が身体ごと作品世界の中に入って体感しているので、自分と世界との境界線がなく作品と溶けて一体化しながら作品を体験する感覚が得られるのがチームラボの作品の大きな特徴であり、感動の大きさに繋がるのではないでしょうか?

それは、自然の海や森へ行ったり、ふと見上げた空の広さを体感した時に感じる素晴らしい開放感ともまた違う、特別な没入感です。

現代の狭い都市空間に閉じこもって仕事や育児などをしながら暮らしている我々は、いつの間にか日常的な感覚を限定されてしまっているので、それを解放して内なる宇宙のスペースを広げる刺激となります。

包み込まれるような、広くて十分な奥行きのある作品空間に実際に身体を置いて感じてみると、本来世界の全ては複雑かつ繊細に繋がりあっていて、独立して存在するものなどなく境界線など元々なかったのだと、改めて実感します。

そして自分だけの意識の中でいつの間にか境界線を作ってしまい、幻のようなそれに囚われていたのは自分自身の狭い感覚だったことにハッと気付かされていく快感をも味わえます。

誰もが心の奥底ではいつでも「全ては繋がりあっている。」というその感覚を知っていても、忙しい日常の中でいつの間にか自分の小さく狭い枠や境界線を作り出してしまいがちです。

チームラボの圧倒的にクリエイティブな作品空間は、それを取り払って再び心と意識の世界を元の広さへと還してくれる、パワフルな空間体験となるでしょう。

そしてそこには、体験した前後では全く違う世界観と新しい世界への認識を生み出す可能性に満ちていると思えました。

「可能性の種」

今回、チームラボから受け取ったインスピレーションの種は、確実に『 SEED OF THE ART 』となり私の心に根付きました。

数々の作品を通して、感動的な誰かのイマジネーションやインスピレーションがテクノロジーというツールを使ってここまで具現化されて自分に届けられるということに素直に驚きました。

共同創造だからこそなし得る、そのプロセスの壮大さ、それを具現化するための緻密な計画性と行動力、チームラボの創造性と閃きの純度の高さ、チーム一人一人のそれぞれの能力の素晴らしさに尊敬の念が凄く湧きました。

一アーティストとして、舞台の裏側がいつも気になる私は、チームラボの作品の「はじまりの種」となるインスピレーションをどのように具現化していくのか、プロセスと技術とチームワークによる共同創造のやり方はどんな風に行われるのかな?などワクワクな疑問と刺激の種を沢山受け取りました。

この種が自分の中でどのように今後芽吹くのかが楽しみです。

チームラボほどの規模ではなくても、自分らしい空間表現を、学生時代のように自由に囚われのない心でまた発信していきたいなぁと、忙しい日常で忘れかけていた情熱も湧いてきました。

チームラボの作品体験を通して受け取れた、更なる意識の拡大とインスピレーションを大切に、情報が溢れる社会で他者の創作活動に圧倒され、ただ受動的にならずに他者と比べることなく、小さくとも自分にしか創れない自らの宇宙を深掘りしながら表現していくことの大切さを再認識しました。

何故なら、どんな閃きも現実化して表現することで、初めて他者の感覚と共振して本当の実りとして結実していくからです。

今回チームラボの実験的で革新的な作品体験から、アートやテクノロジーやサイエンスなどの境界線をどんどん超えたり融合していくことで、奇跡的な物事へのソリューション(解決策)を生み出す可能性の種を体感し受け取れたことに心から感謝でした。


是非、みなさまも機会を見つけて「チームラボプラネッツ」はじめチームラボの作品を体験しに行ってみてくださいね。

最後にチームラボからの素敵なメッセージです。

「チームラボは、アートによって、人間と自然、そして自分と世界との新しい関係を模索したいと思っている。

デジタルテクノロジーは、物質からアートを解放し、境界を超えることを可能にした。

私たちは、自分たちと自然の間に、そして、自分と世界との間に境界はないと考えている。

お互いはお互いの中に存在している。

全ては、長い長い時の、境界のない生命の連続性の上に危うく奇跡的に存在する。」

by team lab

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