Seeds of the art

【Seeds of the Art Vol.10】

幾何学と色彩の魔法使い ジェラルドマクダーモット

~絵本宇宙を遊ぶ~

大人になってからの私の絵本の読み方は、画家の卵としてもっぱら絵を楽しむというところに重きを置いていて、どちらかというとお話しにはそんなに関心は抱いていませんでした。

ところが、今は4人の子供たちの育児を通して、毎晩のように絵本を読んでいるので、絵だけを見ていた時よりもお話しを声に出して読むことで紙の中で2次元だった絵本が、お話を読む「声」という「音」を得ることで、新しい扉が開いていくのです。

読む方と聞いている方の双方のイマジネーションの相乗効果で、平な2次元の紙だったはずが、絵やお話が描かれた紙の奥にある世界が広がり、そこは多次元の奥行きを感じさせて立体的でリアルな夢世界になっていきます。

今回は、私の大好きな絵本作家のジェラルド・マクダーモットさんをご紹介します。

昔から絵本が大好きだった私は、大人になっても沢山の絵本を買っては読んで、そのビジュアルとメッセージに刺激を受けながら、絵本作家さんについても関心を深めていました。

当時から様々な絵本を見た中で、感動する絵本は多くても、衝撃を受けるほどの絵本は少なかったのですが、このジェラルド・マクダーモットさんの絵本は、未だに、開くたびに静かな衝撃を受け続けています。

彼の絵には、一目見ればすぐに彼の作品だとわかるオリジナルの共通点があります。

幾何学的で大胆な色使い。シンプルながらも、力強い生命感溢れるキャラクターデザインが、ジェラルドさんの絵の特徴だと思います。
画面を構成する個性的な色や形は、リズミカルで音楽のように私たちのハートにダイレクトに響いて心を踊らせてくれます。

彼の絵のもう一つの特徴は、ビジュアルデザイン全体のどこかに、ネイティブでプリミティブな香りがする点だと思います。
それは、彼の題材が神話や伝承に基づいていたり、そのデザインが根源的な象徴を醸し出すような幾何学模様だったり。。。

古代の存在がジェラルドさんのセンスにより、現代に斬新に生まれ変わり、かつずっと古くから存在し続けていたかのような空気感をも感じさせる卓越した表現だと思います。

ジェラルドさんはじめ、様々な国内外の絵本作家さんの作品を絵を見るだけでなく、声に出して読むことで、こんなに効果的に絵本の魅力がふくらんでいくことに驚きながら、何より絵本を聞いている子供達の目もキラキラと輝き、彼らのワクワクする心がママにも自然と伝わってきて、こちらも心がいつも高まります。

こうして今では、いつの間にか絵本の本質的でピュアなメッセージに、自分自身も強く影響され、子供達を通して出逢う絵本は私自身を育てる心の成長の糧となっています。

そして、それはいつか自分も絵本を創ってみたいなぁという夢へと成長して、行動へと発展して現実化できる日を自分でもワクワクと心待ちにしているところです。

多くの方々が、自分自身の子供時代に絵本と共にイマジネーションの世界をどんどん膨らませて、絵本の魔法にかけられつつ夢の世界へと誘われて、ゆっくりと眠りに落ちていく幸せな体験をしてきたと思います。

大人になってからもタイムカプセルのように、絵本からのメッセージは素敵なタイミングで大人になった自分への大きなギフトにもなるのだと思います。

その贈り物は、心の中に種として眠っていて、必要な時に芽吹き、時をみて花開き、そして体験という人生の果実として豊かに実っていくのです。

絵本の素晴らしさと愉快さ、心に真っ直ぐ届くとても素直な表現など、平面の紙という2次元の限られた舞台で様々な表現を自由にしている絵本作家さん達の熱心な絵本というARTへの探求の結果、現在こんなにも絵本というシンプルな表現が深い魅力を発しているのではないでしょうか?

きっとこれからデジタルの進化に伴い絵本という媒体も、大きな変化を多様な形でしていくのかもしれません。

けれど、どんなに技術が進歩しても、絵本に宿る「心」や愛のあるメッセージが失われなければ、テクノロジーと共に、もっと心の奥にピュアに届く、新しい時代の絵本という「ART」であり「小さな宇宙」に進化していく可能性もあると思っています。

そしてそれが子供達の純粋な感性と掛け合わさることで、更に想像力豊かに新世界の扉が開いて、絵本の可能性が広がりそうで個人的にはとても楽しみです。

今回、ジェラルドマクダーモットさんの作品を20年以上も前から愛読してきて、コラムのために再度熟読してみて気づくことは、「いいものはずっといい。。」という点でした。
時を経てさらに感じる、このような作品の魅力の安定感を出せる作家さんは素晴らしいの一言です。

是非、皆様も大人になっても子供心を幸せにご自分の中で育て続けながら、久しぶりに「絵本」という懐かしくて新しいARTの世界に浸ってみてくださいね。

ジェラルド・マクダーモット INFO

Gerald McDermott(1941-2012)

1941年アメリカのデトロイトに生まれ、4歳の時からすでに美術学校で絵を学びはじめました。神話や民話の世界に強い関心を持ち、素晴らしいグラフィック的技法で表現するデザイナー、イラストレーターです。アニメーション・フィルムの分野でも、非常にユニークな仕事をして注目されています。大変な旅行好きで、現在は、やはり画家でありイラストレーターでもある奥さんと、ハドソン河渓谷にある小さな町に住んで、絵本の世界に新風を吹き込んでいます。これからの活躍を期待されている絵本作家です。(絵本のプロフィールより)

ジェラルド・マクダーモット/ウィキペディア

<<アニメーション作品など>>

◆The Magic Tree(1970)
https://youtu.be/q7fRTOmbH04
◆Anansi the Spider(1969)
https://youtu.be/W1CIBaRpSOg
◆Raven: A Trickster Tale from the Pacific Northwest
https://youtu.be/cvY9Itj-uAw
◆Arrow To The Sun
https://youtu.be/73GbxEhyS6A
◆Jabuti the Tortoise
https://youtu.be/qLPZ-1s7cnY
◆Coyote
https://youtu.be/TpNefSm4DYU

<<絵本>>


Starseed Artist 素 ∞ 福 Sofuku | 1977年生まれ 山形出身。日本大学芸術学部 絵画科卒業。 オリジナルの宇宙観や、大自然から受け取ったインスピレーションを源に絵画作品を制作。 また日本の伝統文化である「茶道」を独創的な発想で表現しインスタレーション作品として屋内外で展示開催。 2002年 韓国ソウルに留学。 2003年 沖縄へ移住。 2008年 結婚後、東京に移住。 2011年 伊豆大島に移住。四人の子共を出産し育児のためしばらく活動休止。 2016年 NYにてグループ展に参加するなど、創作活動を少しずつ再開し現在に至る。 https://sofukulee.wixsite.com/website