【アートジャーニーVol.1】 ニューデリーのアーティスト ハラプラサッド・トゥリパティ
躍動するインドのアートを知りたいと訪れたニューデリーの文化施設 Latit kala akademiで、インドのアーティスト、ハラプラサッド・トリパシーと出会ったのは2017年の夏のこと。
興味深い構図と時にグロテスクなモチーフを描くトリパシーの絵画は、ただならぬオーラを発していました。
ヨガをする人や楽器を演奏する人を繰り返し描いた面白い構図。コロコロとしたどこか可愛らしいたくさんの建物群。
各モチーフには、シュルレアリスム、ポップアート、日本画など、美術史上のさまざな手法が豊かに引用されていて、かつ同じ画面上に混在しています。
トリパシーはきっと、たくさんの文化に好奇心旺盛に触れ、学んできたのでしょう。
特に日本美術には関心が高く、強い輪郭線、自然の観察、構図、豊かな細部に魅了されてきたそうです。
トリパシーによると、各モチーフが関連してなにかの物語を紡ぎ出しているというわけではなく、複数のモチーフが持つ”イメージの言語”としての要素を同画面上で折り重ねて、画面全体として豊かなひとつのイメージにまとめげているそうです。
そこに描かれているのは、インド社会を極私的な視点で観察することによってもたらされた、躍動するインド社会の急激な社会の変化の中で営む人々の姿であり、人々の心に浮遊する心象風景です。
人柄も優しく魅力的なトリパシー。彼のもつ世界を日本の方々にも楽しんでいただきたいと、ここに紹介します。
Harapraprasad Tripathy
ハラプラサッド・トリパシー
1982年生まれ。
インドのニューデリーを拠点に活動するアーティスト。
タゴール国際大学にて美術学士(Bachelor of Fine Arts)、マハラジャ・サヤジラオ大学にて修士(MVA Painting)を取得。
たびたびインドを訪れた岡倉天心の芸術における哲学や技術・作品をいまに伝えるタゴール国際大学で学んだことで、近代日本の絵画表現や古代の絵画手法など、いわゆる周縁の表現に影響を受け、現在のような独自の表現スタイルを獲得した。
ニューデリーのNature Morteをはじめ、インド国内の美術館やギャラリーで多数の展覧会に参加。
躍動するインドを極私的な視点で描き続けるひとりとして注目を集めている。
ハラプラサッド・トリパシー 作品展 ⇒ Haraprasad Tripathy at MILA Gallery
文・瀬口あきこ / 広報サポート・友川 綾子
英文翻訳・Shoki Tapioca