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大理国際写真祭レポート【写真家:内倉真一郎と、キュレーター:ジョアンナ・フーへ質問、写真レポート】

2019年8月、中国雲南省大理で開催された大理国際写真祭

『Hai, Dozo!—A new generation of Japanese Photographers』

日本人8人による展示企画に出展した内倉真一郎。

第一章から第三章に分けて、内倉真一郎と、キュレータージョアンナ・フーへの質問、内倉真一郎撮影による写真レポートをお届けします。

INDEX


第一章 写真祭出展を終えた内倉真一郎に聞きました。

第二章 キュレーター:ジョアンナ・フーに聞きました。

第三章 内倉撮影による大理国際写真祭写真ギャラリー


第一章

写真祭出展を終えた内倉真一郎に聞きました。

Text : MILA Gallery , Photo : Shinichiro Uchikura

大理国際写真祭会場

-大理を訪れての感想は?

内倉:中国の国際写真祭に出展するのは、これで二回目(2017中国寧波市国際写真祭に出展して以来)。今回は、 写真家の横山さんと一緒に向かい、現地空港に到着すると日本語の上手な写真祭スタッフ2名が出迎えてくれました。大理は観光客がとても多く、賑わいのある街でした。 料理は昼も夜も主催者の方々が美味しい食事を用意してくれて、海外作家のみなさんと一緒に食べました。大理の方々は、とても親切で素晴らしい方ばかりでした。

- 大理国際写真祭、どのような展覧会でしたか?

内倉: 大理国際写真祭は今回で8回目の開催。とてもユニークな会場で中国の写真家、そして世界中の選ばれた写真家達が出展する写真祭です。 空間を上手く活用して、パーテーション、照明、額装、プリントの調整、それらが見事に面白く出来上がっていました。野外展示もあり、右を見ても左を見ても下を見ても上を見ても写真作品だらけ。 しかも、全ての作品がとても見やすく展示されていました。 世界には様々な写真祭がありますが、中国ならではの独特な写真祭でした。次回は2021年に開催されます。是非、日本のみなさんにも観光がてら観に行ってほしいです。

-出展を振り返っての感想は?

内倉: 作品「十一月の星」「Collection」は様々な展示のご依頼を頂き、発表や賞を受賞してきました。その中で今回、大理国際写真祭で自分の作品をもう一度見直し、様々な写真家の方々の作品も見て、新たなインスピレーションを得ました。自分の展示を見ることは、次の新作のステップに繋がりますので貴重な展示の機会でした。

内倉作品「十一月の星」

- 内倉の作品に対する現地での反応は?

内倉: 現地のお客様の反応は「写真集はありますか?買いたいです」など嬉しい言葉を頂きました。また、作品「Collection」はジーッと長時間、一点一点を覗き込むように見てくださる方が多かったです。 新鮮だったのは、作品「Collection」を誰もゴミとは思わなかったこと。僕が「これらは道端のゴミです。」と伝えると、とても驚いていました。

作品「Collection」 を真剣に見てくれているお客様

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-手応えは?

内倉: ジョアンナさんがキュレーターした今回の日本の写真家展が、次は別の国で開催されます。それが何より嬉しく、有難い手応えです。

作品を気に入ってくれたお客様。通訳をしてくれるスタッフ。

-他の作家で、印象に残った作品は?

内倉: 一番印象的だったのは中国人の写真家の作品で、 写真作品での究極の一点を見ました。この作品は、パノラマ形式でたくさんの人々が並んでいますが、一人一人のポートレートがしっかりとしていて、驚きとドキドキ感に溢れた作品でした。また見せ方も作品に合っていて素晴らしかったです。日本の写真家では、木村伊兵衛賞を受賞した岩根 愛さんです。

中国人の写真家の作品
木村伊兵衛賞を受賞した岩根 愛さんの作品

-今回、学びになった体験は?

内倉: 現地に一緒に行った写真家、僕と横山さん、長谷さんの3名で、貴重な体験をしてきました。大理国際写真祭の会議に参加したり、中国写真家協会のトップとお会いしたり、写真作品を数千点も購入しているコレクターのセミナーがあったりと、内容は盛りだくさんでした。

-今回の体験から得た、今後の写真家としてのビジョンや思いは?

内倉: 今回キュレーターのジョアンナさんのおかげで、この写真祭に出展することができました。この経験を生かし、もっとアジアに向けて作品を発表していきたいです。今後も、自分の作品を、信じて貫き通すこと。どれだけ自分が作品と向き合えているか。その作品に責任を持って発表しているか。これらの思いが、今後も一番大切にしていきたいことです。

-次に挑戦したい作品のイメージ、インスピレーションなど、何か湧いて来ましたか?

内倉: 大理に行く前から新作に取り掛かっていて、大理で作品を2点撮影してきました。 制作中の作品は、どの場所でも撮れるシリーズです。

-今、具体的に動いているプロジェクト、展示の予定などありますか?

内倉: 来年、東京で新作を発表します。それはもう楽しみにしていてください!


関連リンク:内倉真一郎オフィシャルサイト大理国際写真祭公式サイト2019年 第8回大理国際写真祭インフォメーションMILA Gallery オンラインエキシビジョン:内倉真一郎

内倉真一郎オフィシャルサイトにて 写真集「十一月の星」写真集「Collection」を、 好評販売中です。 それぞれ限定100部のため、お見逃しなく。

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第二章

キュレーター: ジョアンナ•フー に聞きました。

大理国際写真祭で、8人の日本人写真家の展示『Hai, Dozo!—A new generation of Japanese Photographers』をキュレーションしたジョアンナ•フーさんに聞きました。

Q:今回の日本展について、どのような想いがありますか?

A: この展覧会に8人の写真家を迎えることは、とても光栄な事で心から感謝しています。私たちは、この展覧会を通して現代の日本写真界の鼓動を捉えようと考えています。現代の日本は間違いなくこの世界を新世代の視点から見る術を形作ったといえます。前の世代から受けた影響とはどんなものだったのか?日本人の若者たちは実際にどのような状況に置かれているのか?彼らは自分たちの暮らす社会について何を観て、そしてどのように世界を観るのか?彼らは日本の歴史について少しでも関心を払うことがあるのだろうか?彼らの世代に向けられた様々な困難の中で現実に直面する時、どのようにして内側から湧き出てくる個人的な感情と折り合いをつけるのだろうか?不安で悲観的になるのか、自分の人生のために立ち上がるのか?

今回の展覧会”Hai, Dozo!ー新世代の日本の写真家たち” は、作品を通して、これらの疑問に対する彼らの姿勢や答えを発見することを期待しています。さらにこの8人、小原 一真・岩根 愛・千賀 健史・細倉 真弓・三保谷 将史・横山 隆平・内倉 真一郎・長谷 良樹の豊かな多様性を持つ作品は彼らが育ってきた日本についての彼らなりの理解と思いを私たちに表現してくれるでしょう。この展覧会はまた、視覚表現と文化によるコミュニケーションを用いてアジアで生きる人々の間に継続的な理解と対話の場を提供します。

Q:8名の日本の写真家をセレクトした基準はありますか?

A: この8名は日本写真界の今を語る上で重要な写真家であるといえます。セレクトするにあたって、最も重要視した基準は表現の新しさと、誰とも似ていないオリジナリティ。次に重要なのが作品が、現代日本の若者たちの創作の尺度となり得るかどうかという事です。8人の日本人写真家たちはそれぞれあるテーマについて深く観察し、それに向き合います。自分自身、社会的孤立が引き起こす困難から生じる日本社会に流れる情緒、色彩、身体、造形、信仰、アイデンティティ、さらに日米関係だけでなく核実験の歴史への疑問といった多岐にわたるテーマについて彼ら独自の表現を試みる事となりました。彼らは新世代の日本写真界の現状を代表する重要なアーティストだと思います。

ジョアンナ・フー | Joanna Fu | 傅尔得

キュレーター&コラムニスト。華中科技大学ジャーナリズム大学院卒業。近年は仕事で上海に在住。ロンドン、ニューヨークなどグローバル都市を往復。2015年に「肌理の下一台湾近代撮影連合展」のキュレーションとして、大理国際写真祭にて金翅鳥キュレーター最優秀賞を受賞。また、2017年には第2回寧波市国際写真祭でキュレーションをするなど、数多くの雑誌、新聞を手掛け「一個人的文藝複興」を出版。2018年には「肌理之下:一个人探寻台湾摄影 」を出版する。また、台湾Wonder Foto Day審査員を務める。

official sitehttp://www.joannafu.net

関連リンク:ジョアンナ・フーによる大理国際写真祭作家解説(中国語のみ)@中国のメディア「界面新聞」

英語翻訳:Shoki Tapioca

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第三章

内倉撮影による大理国際写真祭写真ギャラリー

日本語が上手な写真祭スタッフと海外作家たちに用意して頂いた宿。

主催者のベキさん

大理国際写真祭会場

日本人写真家ブース。 とても好評でお客様がたくさん観に訪れました。

海外作家のブース

豪華なオープニングレセプション

大理国際写真祭レポート、いかがでしたか?お楽しみ頂けたようでしたら、幸いです。

関連リンク:内倉真一郎オフィシャルサイト大理国際写真祭公式サイト2019年 第8回大理国際写真祭インフォメーションMILA Gallery オンラインエキシビジョン:内倉真一郎

写真集「十一月の星」写真集「Collection」を、 内倉真一郎オフィシャルサイトにて好評販売中です。 それぞれ限定100部のため、要チェック。

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